研究概要 |
中国・韓国及び日本の歴史教育に関連した歴史研究・歴史教育研究を進める一方で,中国及び韓国等の歴史教育研究との学術交流を進めた。その成果として,いくつかの研究推進の視点や方法に新しい知見をえた。現在、それらに検討を加えている。歴史教科書の分析については,現在中国で進行している教育改革のなかで,“一網多本"の方向に検討を加え,人民教育出版社版「中国歴史」について紹介し,考察した(「中国の教育改革と歴史教育の動向」「歴史教育者協議会編『歴史教育・社会科教育年報1991年版〜歴史教育と世界認識〜』三省堂刊)。なお,本論文は,1990年10月に上海で開催された「国際シンポジウム:教育課程の発展と社会の進歩」に参加・討論した内容を含んでいる。中国史に関する具体的歴史叙述に関して,10年近い共同執筆作業が一書に上梓された(岩崎書店シリ-ズ世界の国々の点史『中国』)。この中国史叙述の視点と方法は,これから進める歴史教科書分析に一つの窓を作った。 日本の歴史教育ならびに歴史教科書に関する研究に関しては,現在,新教育課程の移行期にあって,中学教育の教育課程や教科書作成が進行中であるが,日本・中国・韓国・朝鮮民主主義人民共和国の歴史・歴史教育研究者との“第2回東アジア歴史教育シンポジウム"(比較史・比較歴史教育研究会主催)におけるコメント「日本における歴史教育の現状と課題」を加筆修正し,同研究会編『アジアの「近代」と歴史教育:統目国史と世界史』(未来社刊)に掲載した。また「国際化と歴史設織〜歴史・社会がわかるとは〜」(「社会科教育」No.353)では,国際社会に生きる日本人としての自費という教育目標にかかわっての歴史認識・世界認識について論じた。以上、東アジアの歴史教育と歴史教科書の分析にむけて現論は、方法論的研究に一定の成果をあげた。
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