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1993 年度 実績報告書

楚辞の思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 03610231
研究機関京都大学

研究代表者

小南 一郎  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50027554)

キーワード楚辞 / 道家思想 / 天界遊行 / 淮南子
研究概要

楚辞の諸作品を、離騒篇を軸にして時期区分をし、離騒以前に成立した篇を前期楚辞作品、離騒以後の成立と考えられる作品を後期楚辞作品と呼ぶ。前期楚辞作品、たとえば九歌や天問篇などの成立が、楚文化の中で、どこまで時代的に遡り得るかは、きわめて重要な問題ではあるが、今回の研究では、それを中心に取り上げることはしなかった。もっぱら、離騒篇以後の諸作品の年代付けを行ない、そこから遡って、楚辞文藝の頂点に位置する離騒篇の成立時期をも推定しようと試みたのである。
後期楚辞作品の年代付けのために、それらの作品の中に見られる道家的用語や道家的観念の反映の様相を抜き出し、それを戦国時代末期から前漢時代にかけての、道家思想の歴史的な展開の中に位置づけようと試みた。特に天界遊行の記述は、道家思想の中では、たとえば「荘子」の逍遥遊に見られるような“遊"の観念に結晶し、楚辞の中では、主人公の天界遍歴として文学化されている。楚辞後期作品中の、天界遊行に関わる作品を中心にして、その内容を検討した。その結果、特に遠遊篇は「淮南子」と密接な関係を持ち、時代的にも近いものであったろうことが推定された。この遠遊篇と離騒篇とでは、天界遊行に託された意味に本質的な違いがある。離騒篇の成立が、「淮南子」よりも、時代的に相当に遡るであろうことが推定されるのである。ただ、離騒篇の成立が戦国時代にまで遡り得るものであるかどうかを確定するためには、新しい資料を用いた、より厳密な検討が将来の課題題として遺されている。
以上のような知見を基礎に、研究成果報告書「楚辞後期の諸作品-道家思想との交流」を纒めて、出版した。

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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