研究概要 |
本年度の研究計画・方法は以下の通りであった。 (1)スワヒリ語・スワヒリ文学に関する通時的な研究文献の収集。 (2)スワヒリ語の方言的種々性に関する文献の収集、 (3)時代ごとの言語的特徴と文学作品(伝承,詩篇を含む)との有機的関係を文化史・社会史の中で位置づける。 (1),(2)については,主としてタンザニア,ケニアなどの現地出版社の刊行物の中からめぼしい物を入手するとともに,一研究者の旧蔵書「アフリカ言語・文化コレクション」の一部を入手し,資料収集の面で前進が見られた。これらの図書は,(1)スワヒリ語の生成,特にその系譜的位置を明らかにし,その後の発展の特徴を把握する。(2)スワヒリ語の生成と発展の歴史を東アフリカ全体の文化史との関係で把握し,特にスワヒリ文学の生成と発展とのかかわりを究明する,という当初の研究目的にそった基礎資料となるものである。 (3)については,「スワヒリ語の語彙の増やし方」(日本アフリカ学会第28回学術大会,於国立民族学博物館)などを通じて成果の一部を発表したほか,さらに後続の発表を予定している。 全体として,スワヒリ語の歴史,スワヒリ文学の歴史を再構成し,従来の個別的,共時的な研究成果を通時的な展望の中に位置ずけ,広くアフリカ文化史,イスラム文化史の一環として把握するという当初の研究目的にそって一定の進展が見られた。
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