本年度行った研究実績は以下の通りである(番号は交付申請書に記載した「研究実施計画」に照応する)。 (1)データ入力作業 イラン側クルディスタン方言のデータ入力・校正作業を完了した。尚、当初計画にあったウルミア方言又はZaxo方言のデータ入力は、研究補助費の制限から着手できていない。 (2・3)入力データの処理等 前年度入力したTkhuma方言のデータ処理は、多数の異形態の存在のため、同一語彙の収集とアルファベット順並べかえ作業に多大の時間を費すこととなった。即ち、異形態を独立項目として扱うと後の検索に大きな不便を生じること、及び、用例・出典等のスペースが圧縮されてしまうなどである。このため、イラン側クルディスタン方言のデータ処理には未着手のままである。 (4)編集作業 前項の理由により、本年度の中心課題としてのTkhuma方言語彙集の編集が未完了であるので、本研究により入力された方言データを活用した。現代東アラム語の比較語彙集の暫定版を編集作成することに方針を変更した。これにより、今後の個別方言語彙集編集時の参照を容易にできると判断されたためである。 (5)版下作製・印刷 従って、上記の比較語彙集の版下を作成し、現在印刷中である。 以上から、今後の研究に関しては、編集・出版が未完了のTkhuma方言・イラン側クルディスタン方言の作業・研究を完了すること、他方言についても同様の研究計画を立案すること等が、早急に必要となっている。
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