研究概要 |
(1) 平成3年度に配備の予定であったが、実行が遅れていたベルギー象徴派の代表的な定期刊行物『現代芸術L'Art Moderne』誌のマイクロ・フイルムを配備することができ、1881,1882,1883年度分について、執筆者、タイトル、引用人名についてデータ・ベース化することができた。同じく『若きベルギー派La Jeune Belgique』についても、執筆者、タイトルの一覧を作成することができた。これによって、いわゆるベルギー・ルネサンスといわれる19世紀末の芸術文学運動を具体的に展望することができるようになった。 (2)初年度において、ジェームス・アンソールならびにフェルナン・クノップフについて、基本的文献を配備し、ジャン・ロラン、ペラダン、シューレ、メーテルリンク、ローデンバッハとの関連のなかで、逆説的風刺的な仮面世界としてのアンソール絵画、、ナルシスティックな瞑想世界としてのクノップフ絵画を論述したが、ひきつづき『ベルギー象徴派(3)-ジャン・デルヴィル』(千葉大学ヨーロッパ総合研究フオーラム公開講演会、ならびに『現代文学』第46号)において、象徴主義から神智学的イデアリスムへと開花するジャン・デルヴィルの絵画世界を、ペラダン、シューレ、スクリアービンらとの関連において論じた。これはまた『サタン変貌ー世紀末文学芸術における悪魔』(『幻想文学』第36号)において、いくらか発展を見た。 (3)さらに『ベルギー象徴派(4)-レオン・フレデリック』(『現代文学』第47号・印刷中)において、イデアリスト芸術運動が太母的宇宙のなかで再生への夢想を形成していくベルギー独特の神秘主義を論じることができた。この論述は、ついで『ベルギー象徴派(5)-コンスタン・モンタルト』(『現代文学』第58号掲載予定)において、発展されるはずである。
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