研究概要 |
ローマ法の現代的慣用(現代的適用)は、17・18世紀のドイツを中心とするヨーロッパ法史上の時代区分である。ヨーロッパ近世の法と法学にとって、ローマ法と地域固有法の対比の中で、法概念・法的推論・体系が整備された時期である。この時代の法概念や法思考の機能を現実連関のなかで認識するためには、影響力のある法学者の学説によって法制度や法学説の歴史を明らかにすること以上に、大学関係の法学者や学生がとりあげた生々しい議論を法知識の流通という観点で詳細にあとづけることが求められている。この意味で、ロストック大学旧蔵法学論文コレクションは、大学文献約12,500件を含み、同時代の法知識社会の関心がどのテーマに集中したかを示す第一級の史料であることが明らかになった。かつてこのカタログを出版するにあたって、機械可能形式の印刷用データを作成した。サヴィニー財団法制史雑誌SZ Germ1993に書評が出ている。そのデータをUNIX-ワークステーション上で処理することによって、同時代の辞書・シソーラス作成の基礎資料を得ることができた。処理系としては、主としてIBM-PC系を作っていた頃からなじみのあるMSM(Stan dard MUMPS)を使用した。SPARCstation上では処理速度がPC比何十倍高速であることと、窓系Xでプログラムと実行を並行しておこなえるので、さまざまな処理がはじめて可能となった。表題に現れる単語を切り出して、出現頻度や内容分野・キーワードとの対比等の観点からくりかえしデータを作成するので、保存する記憶媒体も大容量・高速のものが必要であった。KWiC索引(コンコーダンス)のほか、内容の分類目録を作成し、既存の分類項目を、単語やキーワードの出現と対比して修正することができた。Sicstus Prolog上での文法処理と、語彙集を時代のキーワードを明らかにするものとして公開していく。
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