1 本研究においては、計画年休の実態調査と比較法研究を行った。 (1)実態調査では、10の企業及び労働組合から聞き取り調査をした。そこで明らかとなったのは次の諸点である。(1)計画年休は大きく全社一斉型、事業場一斉型そして個人別付与型に区別される。(2)連休は、大型化しているところは少ない。(3)個人別付与型においては、i年休取得時季の指定ないしは奨励をしている場合がある。ii取得日の決定方法は労働者が計画表に記入し、それを職制が調整する。労働者の希望取得日が重なった場合の優先基準を定めているところがあるがわずかである。(4)計画年休に関する労働協約ないしは労使協定の法的拘束力は一斉型で背定されるが、個人別付与型ではそれが否定されている。(6)計画年休の変更は原則として禁止されている。 (2)次に、比較法研究は文献により行った。特にドイツでは、(1)法律において連休の単位(最低2週間)、優先基準、変更事由などが明記されている。(2)取得日の決定にあたっては、事業場における労働者の代表組織である経営協議会が関与している。(3)病休制度などが充実しており、年休を本来的目的にそって利用できる環境にあるなどが明らかになった。 2 以上の研究から解明された点のなかで特に重要なのは、以下の事項である。 (1)計画年休に対して正当な評価が与えられるべきである。(2)一斉型よりは、個人別付与型のほうが労働者個人の年休権の充実という観点からしてすぐれている。(3)労基法上の計画年休に関する規定は不十分であり、少なくとも、連続取得、優先基準を明記するとともに、労働者の過半数代表についての法整備を進め、労働者の意向を十分に反映させる手続を完備しなければならない。(4)病休制度などを創設していく必要がある。
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