先物・オプション市場のワ-キングにかんする理論的・実証的分析

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03630001
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 酒井 泰弘 筑波大学, 社学科学系, 教授 (40093760)
• 研究分担者: 河野 正道 帝京技術科学大学, 助教授 (30161342)
• キーワード: 先物市場 / オプション市場 / 危険回避 / 不確実性の経済学

研究概要

本研究の目的は、シカゴ・東京・大阪における先物・オプション市場の実体を念頭に置きながら、危検回避理論と不確実性下の最適化理論の視点から、先物・オプション市場のワ-キングとパフォ-マンスを理論的・実証的に解明することである。1970年代から1980年代にかけて、不確実性と情報の経済学という新しい経済学が登場し、リスクの下での意思決定やリスクの分散などの問題を処理する新しい分析方法が開発された。本研究では、このような新しい経済分析の手法を積極的に取り入れることによって、先物・オプション市場の価格形成を学術的に解明しようと試みるものである。
本研究の研究年度は、平成3年度と4年度の2年間である。この平成3年度において、酒井泰弘は研究代表者として、先物・オプション市場のワ-キングとパフャ-マンスを体系的に研究するためのモデル作りを開始し、その成果は図書2点と学術論文5点という形で結実した。河野正道は研究分担者として、モデル作りをサポ-トし、学術論文数点および学会で数回論文報告を行うことができた。なお、本モデル作りにあたっては、関係書類や経済資料を購入するとともに、資料整理や計算補助のために短期雇用者を常時雇用した。さらに、調査・研究と打ち合せのため、酒井泰弘と河野正道の両者は、東京・大阪方面へ随時出張するとともに、筑波大学において定期的にセミナ-やワ-クショップを開き他の研究者との実りある情報交換を行うことができた。
平成3年度の研究を通じて実感したことは、先物・オプション市場のモデル作りには、危険回避や情報の理論という理論的武装のほかに、先物・オプション市場の実証的分析が不可欠だということである。次年度においては、後者の実証的研究に重点を移しつつ、研究に一層推進するつもりである。

研究成果

• [文献書誌] 酒井 泰弘: "INFORMATION SHARING IN OLIGOPOLY:OVERNVIEW AND EVALVATION" KEIO ECONOMIC STUDIES. 28. 51-71 (1991)
• [文献書誌] 酒井 泰弘: "THE IMPACT OF RISK AVERSION ON INFORMATION TRANSACTION BETWEEN FIRMS" JOURNAL of ECONOMICS. 53. 51-73 (1991)
• [文献書誌] 酒井 泰弘: "期待効用と危険回避" 広島大学経済論叢. 32. 15-35 (1991)
• [文献書誌] 酒井 泰弘: "情報化の進展と消費者の利益" 生活経済学会会報. 7. 55-71 (1991)
• [文献書誌] 酒井 泰弘: "リスク費用・便益分析:レヴュ-" 日本リスク研究学会誌. 3. 11-13 (1991)
• [文献書誌] 河野 正道: "ON THE OPTIMAL PROTECTION OF A GROWING MARKET from ENTRY of A BIG FIRM" Discussion PAPER,Teikyo Univ.of Technology. 91ー10. 1-21 (1991)
• [文献書誌] 酒井 泰弘: "リスクと情報:新しい経済学" 勁草書房, 218 (1991)
• [文献書誌] P.A.サミュエルソン,酒井 泰弘 ほか訳: "厚生および公共経済学" 勁草書房, 328 (1991)