平成三年度に始められた本研究では、まず三年度内に、国内におけるデ-タの収集・整理を行なってきた。加えて、6月にオ-ストリア(ウィ-ン工科大学)、7月にアメリカ(ノ-スウェスタン大学)での国際会議で、研究交換と討論を行い、8月以降来日した何人かの外国人研究者とデ-タ及び技術的な意見交換を通じて、研究の発展を促すことができた。 デ-タの収集も基本的な部分は終わり、日本及び米国の景気変動、また、先進国と発展途上国の出生率の差についての現状についてもほぼつかむことができた。平成4年度の1月においては、骨格となるモデルの作成も終えている。4月以織、新年度においては、経済モデルをより完全なものとして、そこで検討する結果と現実のデ-タとの対応関係を吟味するつもりである。 現在までの研究実績は、今後の研究の進むべき方向を予測させるに十分なものがある。まず、出生率が振動的に変動する傾向の説明を行うことである。過去のデ-タに照らしてその意味はある程度つかめてきた。次に景気循環の内生的原因をとらえる。そして、第3に年金を含む社会保障水準の将来予測をすることである。これらは多くの学者がこれまで様々な議論を交わしてきた問題であるが、これまでの経過は、それらの3点について一定の成果を期待するに十分なものである。
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