平成四年度内には、国内におけるデータの収集・整理を行ってきた。加えて、国際会議での研究交換と討論を行い、海外研究者ともデータ及び理論面の意見交換をした。特に、アメリカのカリフォルニア大学(サンディエゴ校)のラウト教授、カナダのウエスタン・オンタリオ大学のザン教授と研究交換を行った。また、6月には、アメリカのコーネル大学での学会出席を通じ、マジュンダー(コーネル大学)、ラドナー(ベハ研究所)、ゾーガー(ウィーン大)教授との議論、7月には、ロチェスター大学とニューヨーク州立大学で講演を行い、研究の発表をした。7月と平成5年1月には、電子通信学会の箱根と京都でのワークショップで講演をして、工学者と、11月には京大の数理解析研で講演をして、アメリカのサンフェ・インスティテュートを中心とする物理学者と研究交換をした。その結果、数理生物学を含めた、工学、数学等の分野の手法を応用して、人口成長の資源環境に及ぼす影響までも分析することができた。 本研究の主目的である、社会保障と出生率の関係については、社会保障の充実が出生率を低下させること、一方、各家庭の生活水準は向上することが実証された。この研究の新しい部分は、出生率が経済的メカニズムで決定されることを明らかにした点である。 また、派生的に、公的年金と民間資本市場の関係について、更に、研究をする必要がでてきた。これは、海外の研究者によって指摘された点である。この点は将来の研究の中で明らかにしてゆきたい。
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