研究概要 |
サービスの国際間取引を形態別に分けてみると(I)国境取引のほかに生産者或は消費者が移動する(II)要素収益取引-生産者のみ移動-(III)現地取引-消費者のみ移動-(IV)第3国取引-生産者及び消費者の移動となる。この他にサービスの多くが中間財であり財に体化されて取引されるという形態の分析も重要である。 本年度は産業連関表(1985年.1990年)をもちいて(I)の形態のサービス貿易と中間財として財の取引に体化されるサービス輸出入の特徴を分析した。その結果輸出に集約的に用いられるサービスは商業、運輸・通信、不動産であり、輸入に集約的に用いられるサービスは電気・ガス、水道、その他サービス、金融であることが明らかになった。これらに(I)の形態を加えたものが、直接・間接に取引されるサービスである。(浦田秀次郎「財貨の体化されたサービス貿易(世界経済評論より近刊予定に発表)このほか日本の(II)の形態の取引は1980年代中頃からきわめて盛んになった。ことに商業、金融、保健、卸売・小売のサービス貿易は財の貿易取引や現地生産を円滑に行ったために必要な支援的なサービスを提供する。このような支援的サービスは特にアジア地域で重要である。 本年度はアジア地域への日本の(II)の形態によるサービス貿易の現状についての分析を行った。その結果、アジア諸国とのサービス貿易は香港・シンガポールとは金融サービス、台湾韓国とは小売サービス、インドネシアとは観光サービスというように分野が異り、アジア地域全体としての財の生産及び流通に対してネットワーキング支援を行っていることが明らかになった。(yoko Sazanami “Japanese Service Enterprises in the pacific"in Sletmo,G.K,and Gavin Boyd(ed)Pacific Service Enterprises and Pacific Cooperation Westview Press,1993に発表)本年度行った研究はあまり行われていない分析視覚によるものであることを付記する。
|