本研究の目的は、まずサービス貿易に関する諸統計を国際貿易統計と整合性を保ち、WTOのサービス貿易協定のもとでの自由化を把握出来るように整備することである。次にこれらの統計をもちいて、サービス貿易と財貨貿易との関連などの波及効果を計量的に把握することである。WTOのサービス貿易協定においては、サービス貿易の範囲を国境をこえて商業拠点を設立して行うサービスの供給、自然人によるサービスの供給を含む。そのため従来の国境取引を主体とした国際収支統計をもちいた分析では充分に自由化の効果を把握出来ない。本研究では国境間貿易だけを対象にした狭義のサービス貿易と要素移動を含む広義のサービス貿易の違いを国際収支統計から説明した。サービスの多くは財貨生産の中間投入としてもちいられる。本研究では1985年と1990年の日本の産業連関表をもちいて、財貨に体化されたサービス、分離されたサービスの貿易動向を計測した。また日本貿易のサービス集約度の比較を1985年と1990年について行った。
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