平成3年度は、具体的研究課題として以下の諸点を提示した。1)高度成長とエネルギ-大量消費構造の創出、2)技術革新とエネルギ-転換の関連性及び経済発展へのインパクト、3)エネルギ-(資源)大量消費構造と多国籍企業、4)高度成長期のエネルギ-大量消費と環境汚染・社会的費用問題、5)産業活動の高度化、モ-タリゼ-ション、新生活・消費スタイルの登場の「経済成長・エネルギ-・環境」関係への影響。投資、生産、分配に関する市場メカニズムの機能と合理性の分析6)エネルギ-効率利用の喪失と地球環境悪化の現状分析、7)「成長」と「環境」のトレ-ド・オフに関する検討、8)経済成長・エネルギ-・環境の相関関係に関する学術的研究と理論の到達度検討。 過去1年間、これら研究課題に沿って研究活動を実施、各種の調査や資料収集、また将来のエネルギ-供給との関連で、北海道、東京、名古屋、大阪等諸地域の天然ガス問題に関する実態調査を行った。当初予定の研究課題が膨大だったためその全てに亙って初期の目的を達成することは出来なかったが、情報・資料の収集、問題の所在の検討、若干の理論的検討等でかなりの成果を得たと確信している。得られた知見では、戦後世界経済の復興・発展の過程で、膨大な資本、資源(エネルギ-)、労働力の投入と大規模な技術開発が試みられ、これにIMF・GATT体制の機能が重なって世界的規模の高度成長が実現したわけであるが、「成長」、「資源(エネルギ-)」、「環境」の統一的把握はなかった。これは市場経済体制の重大な欠陥を示するもので、環境問題という「外部不経済」の「内部化」問題を含め、現存経済理論と政策の再検討が不可欠との結論を得た。平成4年度は、調査の続行、知見の分析、理論的整理と単著公刊の準備てを予定。
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