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1992 年度 実績報告書

ドイツにおける戦後経済改革の経済史的意義-独占規制を中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 03630050
研究機関東京都立大学

研究代表者

柳澤 治  東京都立大学, 経済学部, 教授 (00062159)

キーワード戦後改革 / 独占規制 / 過度経済集中の排除 / 非カルテル化 / 化学工業 / 中小資本 / 社会的市場経済論 / 反トラスト主義
研究概要

(1)第二次大戦後における西ドイツの経済改革の評価の問題は、戦争の敗北と「1945年」の歴史的画期の全体的な理解に関連する。それはとくにナチス体制と、その崩壊及び戦後西ドイツ社会との間の連続と断絶のあり方をめぐる論争において示される。H.A.ヴィンクラー他は1945年前後の断絶面を重視し、D.ブラックボーンやG.イリーはその連続面を重視するが両者に共通する点は、「資本主義的秩序」についての連続性であった。それではドイツ資本主義は1945年を画期に何の変化も示さなかったのか。これが本研究の課題であった。
(2)戦後のドイツの経済改革はさまざまな面で行なわれるが、しかしとりわけ重要なのは、エルベ川以東のドイツ(東部ドイツ)の分裂とそこでのユンカー的土地所有=農場制の解体と、工業部面における独占的企業の解体・カルテルの禁止であった。これらの措置は、ナチス体制はもとより、それ以前からのドイツ資本主義の構造的特質の解体を意味し、その意義はわが国の戦後改革のそれに決して劣らないといえよう。連続面の中にこのような決定的な断絶面があったことにわれわれは注意しなければならない。
(3)敗戦後英・米・仏連合国側イニシヤチヴの下で「過度経済集中の排除」・「非カルテル化」が実施され、化学工業と鉱山・鉄鋼業を中心に巨大コンツェルンが解体された。日本の財閥解体に照応するこの措置は、19世紀以来の資本の集積・集中に大きな修正を加えるものであり、画期的な意義を有したが、それ故にまた限界が存在した。これに対して「非カルテル化」は徹底してなされ、ドイツ史上はじめてカルテルは原則的に禁止されることになった。このような政策は単に「外から」与えられただけでなく、それを支える内的条件が存在した。中小資本の発展を重視する社会的市場経済論とその立場に立った政策志向がそれである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 柳沢 治: "ドイツにおける戦後改革の資本主義の転換-独占規制を中心に-" 田中豊治・柳沢治・小林純・松野尾裕編『近代世界の変容-ヴェーバー・ドイツ・日本-』リブロポート. 65-87 (1991)

  • [文献書誌] 田中 豊治・柳沢 治・小林 純・松野尾 裕編: "近代世界の変容-ヴェーバー・ドイツ・日本-" リブロポート, 311 (1991)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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