研究概要 |
1.日本の多国籍企業の企業体制論上の位置づけおよびその経営システムのあり方、とくに企業の段階から経営の段階への発展過程の一形態として多国籍企業を経営的観点から明らかにした。この場合,日本的経営論の一環として日本の多国籍企業の投資原理および企業原理を明らかにした。 2.日本の多国籍企業の実態調査のなかで、企業間提携の緊密度によって具体的に経営活動する組織の実態が明らかにされた。企業間提携という経営活動を具体化する場合、基本的にはトップ・マネ-ジメントの組織構造が重要であることが明らかにされた。 3.企業間提携の経営機能として、日本の多国籍企業の実態調査のなかから、パ-トナ-シップ経営という特性を持つことが明らかにされた。パ-トナ-シップ経営は、個別企業の組織経営や企業グル-プのグル-プ経営と異なる新しい経営活動ということができる。とくに、企業間提携の概念的枠組みとしては、企業間の協働活動、経営的自立性などが重要な要素となっている。 4.日本の多国籍企業における企業間提携は、現在、国内の企業間提携にとどまらず、国際的な企業間提携に広がっているという実態が明らかにされた。とくに、日本多国籍企業のうち、いわゆる成熟産業においては、この企業間提携の国際化、グロ-バル化がきわめて重要な要素となっている。 5.企業間提携を経営的観光から経営意思決定に組み込むとすれば、今後、日本型経営者の実践原理の解明が必要となろう。とくに、経営体論と経営者論の一体的関係のなかでわれわれは新しい経営実践原理を提示したい。
|