論文「日本的経営のグロ-バリゼ-ションと日米構造協議の意味するもの」においては、自動車産業の国際化に関連して日米構造協議で取り上げられた日本的経営特殊論とこれに関連する条列取引関題を論じ、条列取引の中にも部品系列取引のように欧米でも新たに見直され効率的普遍的なネットワ-ク組織として評価され新しい試みが進行している分野と、系列販売のようにともすると硬直化し流通効率を低下させる恐れのある分野を区別して考える必要があること、そしてまた系列販売においてもアフタ-サ-ビスなどサ-ビスシステムの問題が系列を開放した場合の大きな課題として残ることを論じている。論文「日本的生産システムの歴史的背景とその現代的意義においては、広い意味でのト-タル流通システムの効率化につながるフレキシブルな日本的生産システムの歴史的原点がむしろマスプロ大量生産システムを完成させる以前の形成期のフォ-ドシステムのライン同期化実験の中に状在しており、アメリカガマの原点をト-タルシステム的ハイボリュ-ムマスプロシステムの目ざましい量産効果に目を奪われてかえってこれを見失ったこと、日本的生産システムではこの原点を従業員全員参加型の生産の平準化の追求という形で継承し、今やF4自動化やCIM化の原則の中にも生かしていることを明らかにした。著書『マ-ケティング歴史と国際比較』では、アメリカがなぜマ-ケティングの母国となったかを明らかにするとともに、流通産業と自動車産業のマ-ケティングの日米比較を試みた。近刊予定の『系列取引の国際比較』では共著の形で日本の系列取引の特徴と歴史を比較しつつ今後の系列取引のあるべき姿を論じている。
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