1.前年度に神戸造船所・三菱総合研究所で調査・収集した会計帳簿・例規集などの資料(マイクロフィッシュ)の整理・分類を行ったが、とくに神戸造船所「月末勘定書」は昭和13年の大水害による冠水のために、数字等が不鮮明な箇所について、8月3〜6日に神戸造船所の倉庫に赴き再度専門の業者に依頼し、35mmフィルムで撮影を行った。 2.前年度に研究成果として発表した明治40〜44年の神戸造船所「月末勘定書」に引き続いて、大正元〜15年の「月末勘定書」の解読作業に取り組んだが、多くの解読不能な箇所および疑問点が生じたので、11月19〜20日に神戸造船所の原価計算担当者および関西在住の退職者に聞き取り調査を実施し、この研究成果は東北大学研究年報『経済学』に資料「大正元年の神戸三菱造船所月末勘定書」として発表した。 3.神戸造船所で収集した「大正2年の神戸三菱造船所組織」は、神戸造船所に現存する最初の原価計算規定であり、「明治41年の長崎三菱造船所組織」との比較研究を行って、東北大学研究年報『経済学』に資料「大正2年の神戸三菱造船組織」として発表予定である。 なお、「大正2年の神戸三菱造船所組織」も明治41年に三菱合資会社管事荘田平五郎氏によって創制されたものであり、同氏のご子孫荘田泰哉・荘田勝彦の両氏が神戸と東京に在住しておられることが判明し、聞き取り調査を行い、荘田平五郎氏の日記および書簡類が国会図書館の分館に一括して預けてあるとのことで、目下調査中である。 4.神戸造船所の倉庫より古い会計資料を移転するとの連絡を受け、3月2〜5日に最後の調査をお願いし、「予算表」(大正2〜15年)および「固定資産償却明細表」(大正6〜15年)を発見した。 5.3月11〜12日に三菱総合研究所資料室で「神戸造船所往復書瀚」を収集した。
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