研究概要 |
1 本研究においては,米国における税法計算規定と財務会計基準との相違点を明らかにするとともに、税効果会計を必要とする背景を検討することを目的とした。まず,現在進行中の米国のFASB(財務会計基準審議会)基準書第96号による税効果会計の改正論議を調査することにより、現時点における税効果会計の論点を明らかにすることを重視した。そのため,現行のAPB(会計原則審議会)意見書第11号の税効果会計基準の持つ問題点,新基準として発表されたものの批判が多くて実施が延期されているFASB基準第96号の内容,基準書作成の基礎となるFASB概念書における概念規定,および1991年に発表された基準書第96号改訂のための公開草案の論点を検討した。この検討に当たっては,現論的研究とともに,アメリカ主要企業における税効果会計の実施状況についても,Accounting Trends & Techniques等に基づいて調査を行った。その研究成果の一部を雑誌論文に掲載・発表することができた。 2 日本企業で米国SEC基準によって連結財務諸表を作成している主要企業における税効果会計実施の実情を,有価証券報告書により調査した。 3 税法計算規定と財務会計基準において処理を異にする主要損益項目につき,税法および財務会計におけるそれぞれの計算基準の内容を検討した。その中でも,特に,連結納税申告書と連結財務諸表との異同点,合併税務と合併会計との関係に関心を持って調査を行った。さらに、州法人税における特色ある計算規定,例えば,州連結納税申告書,州合算課税制度(ユニタリ-・タックス)を調べ,連邦税およびFASB基準との相違点を研究した。
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