研究概要 |
1991年3月末にワ-クステ-ション(ソルボ-ソS4000)一式を導入し,天文学用デ-タ処理・解析用ソフトウエアIRAF(米国立光学天文台(NOCO)から導入)をのせた。このソフトウエアを用りて,1990年夏にカナダのドミニオン天文台で入手した多数の恒星の高分散スペクトルを用いる研究課題のプロジェクトを開始した。現在までに約1ダ-スの星(全体の約4分の1)について基本的なデ-タリダクションを完了した。その内1個の星について詳しい解析を行った。その星はHR1094(HD22316)という晩期B型星で,1979年に観測された高分散スペクトルに,ふつうのB型星には見ることのできない元素(塩素とコバルト)の吸収線が強くあられていた。これらの元素の吸収線の等価中を測定し,モデル大気を用いる解析を行った結果,この星では,塩素とコバルトが太陽組成より大中(3〜4ケタ)に過剰であること,また,白金や水銀も大中に過剰であることが判明した。(この結果は1991年10月に日本天文学会秋季年会で表発)また,金属線星と磁変星のスペクトル中に見られる,一回電離した鉄の吸収線ペアの強度比を用いて,恒星表面の磁場の強さを推定することも試みた。(結果は1991年11月に恒星物理学の研究会で発表)その他,プロジエクトの目的である,多数の星でのいくつかの元素(スカンジウム,バナジウム,ニッケル等)の吸収線の系統的ふるまいを調べるための測定も進行中である。
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