入射エネルギ-150〜210MeVにおいてMo+S反応からの高エネルギ-γ線とγ線多重度の同時測定を行ない、その結果を解析した。これまでの結果では、巨大共鳴のパラメ-タは角運動量には余り依存せず、むしろ励起エネルギ-に依存する事が示唆された。しかし、γ線の多重度から角運動量は一義的に決めるには多重度の分解能が不十分であり、分解能を良くする為に立体角の大きな多重度フィルタ-が不可欠である事が判明した。また入射エネルギ-が上がるにつれて不完全核融合の割合が増え、残留核の同定が困難になると共に、残留核の励起エネルギ-にも不確定さが大きくなる。このためまず、残留核の状態についてより詳細なデ-タを得る事が必要と思われた。 そこでSn+Arの系について、残留核と中性子の同時計測実験を行なった。残留核の検出には半導体検出器とチャンネルプレ-ト型検出器が用いられ、良好な粒子識別能力が得られた。これまでの報告に反し、入射エネルギ-37MeV/核子でも「重い残留核」の生成量はかなり大きい事が判明した。この実験では中性子の多重度とエネルギ-分布も測定され、残留核の励起エネルギ-が推定された。 フッカバリウムとプラスチックシンチレ-タ-を組み合わせた接合型検出器の性能試験を行ない、粒子識別能力についてデ-タを収集した。この結果を用い、γ線及び荷電粒子を測定できる大立体角の検出器の整備をすすめている。一方、解放型の平行平板型検出器で生成残留核を検出する実験を行なった。この型の検出器は検出器周囲の不感部分を小さくできる技微があるが、検出器前面の薄膜の強度が問題になる事がわかった。
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