研究概要 |
^6He,^<11>Li等の中性子過剰核の構造と、それらが入射した場合の反応機構について以下に記すような成果をあげた。(1)^6Heに対して ^4He+n+nの三体構造を仮定して、クラスタ-軌道殻模型を用いて弱結合系としての ^6Heの束縛機構、2中性子の相関、ハロ-構造の密度等を調べた。また、Soft dipole modeの分析により4〜7MeVの低励起エネルギ-領域に強い電気双極子強度布が期待されること、それは( ^6He, ^4He)反応の断面積の標的核依存性によって支持されている事が結論された。(2)中性子ハロ-構造は中性子雫線上の原子核において見いだされてきたが、通常の原子核でもアイソスピンが高い状態として中性子や陽子からなるハロ-構造が存在しうる可能性を簡単な質量公式を用いて指摘した。特にA=11の原子核について励起エネルギ-や幅の予想を行い、発見するための実験的示唆を与えた。(3)核子当り800MeVの高エネルギ-で ^<11>Liが入射した場合の相互作用断面積、全反応断面積、2核子離脱反応断面積の詳細な分析をGlauber模型を用いて行なった。ハロ-で特徴づけられる広がった密度を持つ中性子過剰核に対して、キュムラント展開の最低次だけをとってphase shift関数を近似するのは20%程の過大評価になることを示した。また、標的核を励起する過程が励起しない過程に比べてより重要であることがわかった。(4)核子当り50MeV〜200MeVの中間エネルギ-での中性子過剰核の反応は、結合エネルギ-が小さいためにbreakupの効果を取り入れることが極めて重要になる。 ^<11>Liの反応に対しては四体模型による扱いが必要になる。断熱近似とアイコナ-ル近似はともに良く成り立つと期待されるが、これを用いることによりbreakupを含んだ簡明な反応理論を定式化できることを示した。重陽子散乱にこの理論を適用しその有効性を実証した。更に、弾性散乱のみならず破砕反応断面積や光学ポテンシャルを容易に計算できることを示した。
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