研究課題/領域番号 |
03640268
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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研究分担者 |
佐々木 節 京都大学, 理学部, 助教授 (70162386)
藤川 和男 東京大学, 理学部, 教授 (30013436)
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キーワード | 量子重力 / 格子重力 / ランダム分割 / 弦理論 / 膜の理論 / 2次元重力 / くりこみ群 / ε展開 |
研究概要 |
1.重力の量子論を研究する有力な方法として(1)格子理論(2)くりこみ群とε展開(3)位相不変な場の理論が考えられるが、本年度は(1)と(2)の方法を用いて研究を行った。 2.まず格子理論の方法においては、最近多くの人達によってdynamical triangulationとよばれる格子重力の研究が精力的に行われ、臨界指数等が非摂動的に調べられてきた。しかしながらこの理論においては、Liouvilleモ-ドが見いだされておらず、どのような力学系になっているのか末だ不明である。二宮と藤川は、このモ-ドをとり出す方法及びWeyl対称性とその量子異常を明白にあらわすような格子重力の理論形式を構成した。 3.くりこみ群とε展開による重力の研究は二宮が川合光(東大・理・助教授)及び北沢良久(東工大・理・助教授)両氏と共同で行った。2+ε次元での重力理論において、2次元のコンフォ-マル・ゲ-ジと同様のゲ-ジを見いだし、1ー及び2ール-プ計算では、コンフォ-マル・モ-ドだけがくりこみに寄与し他のモ-ドは無視できることをを示した。次に強結合極限で臨界指数(異常次元)は既知の厳密解の展開に一致することを示した。更に宇宙項オペレ-タ-の期待値の経路積分表示は、コンフォ-マル・モ-ドだけが効くと仮定すれば、厳密に計算でき、臨界指数は厳密解そのものであることがわかった。 以上のように平成3年度の量子重力の研究においては、興味あるいくつかの新たな知見を得た。次年度以降の研究に大きなはずみがついたと考える。 4.藤川と佐々木は、量子力学のトンネル効果における摩擦を研究し、宇宙論及びゲ-ジ理論におけるトンネル効果の端緒を作った。
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