1993 年度実績報告書

量子重力理論の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号	03640268
研究機関	京都大学
研究代表者	二宮正夫京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
研究分担者	佐々木節京都大学, 理学部, 助教授 (70162386) 藤川和男東京大学, 理学部, 教授 (30013436)
キーワード	量子重力 / 2次元重力 / くりこみ群 / ε展開 / 弦理論 / 弦の場の理論 / QCD / 経路積分の量子化
研究概要	1.二宮は、本計画の最終年度の平成5年度には、量子重力理論に関して、主として次の2つの主題を中心に研究を行った。 (1)2次元近傍の2+ε次元の時空において、くりこみ群とε展開を併用する非摂動的な場の量子論の方法によって、2次元よりも高い次元の量子重力の普遍的な性質を探り4次元時空の量子重力の構成を目指した。具体的には川合光氏(高エネルギー研・教授)及び北沢良久氏(東工大・理・助教授)と共同で次の結果を得た。 (1)2+ε次元において量子重力は紫外安定な固定点が存在し、それを境に弱結合、臨界点近傍、強結合の3つの相があることを示した。ランダム分割(マトリックス模型)の既知の結果は強結合相において成立することを示した。 (2)臨界点近傍は微小距離の重力理論によって述されているが、くりこみ群の方法を用いて新しい重力理論の一つを提案した。更に種々の観測量の間のスケーリング関係式を見出した。 (2)2次元時空の重力理論は経路積分の方法でテンポラル・ゲージを用いて量子化して、閉じたループの長さに関する量子力学系に帰着することを示した。更にこの系を第2量子化することによって、この理論のハミルトニアンは運動項を含まない、いわゆるプレジオメトリックな型であることを導いた。結果として得られた理論は非臨界次元(ゼロ次元)の閉じた弦の場の理論でもあり、我々の方法は、弦の場の量子論の新しい研究方向を与えるものであると考えられる。この研究は福間將文氏(京大基研・助手)、石橋延幸氏(高エネルギー研・助教授)、川合光氏(高エネルギー研・教授)と共同で行った。以上のように、本年度は二宮にとっては量子重力の研究において、いくつかの新たな興味深い知見を得たと同時に、新しい重要な研究方向を打ち出すことができたと考える。 2.藤川はQCDのベータ関数の新たな計算法を開発した。 3.佐々木は宇宙生成モデルにおける量子重力の役割に関し、重要な研究を行った。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] 藤川和男・二宮正夫: "A Semi-Classical Continuum Limit of Dynamical Triangulation and Weyl Symmetry" Nuclear Physics. B391. 675-694 (1993)
[文献書誌] 川合光・北沢良久・二宮正夫: "Scaling Exponents in Quantum Gravity near Two Dimensions 1993" Nuclear Physics. B393. 280-300 (1993)
[文献書誌] 川合光・北沢良久・二宮正夫: "Ultraviolet Stable Fixed point and Scaling Relations in 2+ε Dimenseonal Quantum Gravity" Nuclear Physics. B404. 684-714 (1993)
[文献書誌] 福間将文・二宮正夫: "2 Dimensional Quantum Gravity in Temporal Gauge" Yukawa Inst.Preprint. YITP/U-93-37. 1-20 (1993)
[文献書誌] 藤川和男: "A Nondiagramatic Calculation of One loop Beta Function in QCD" Physical Review. D48. 3922-3924 (1993)
[文献書誌] 佐々木節: "Quantum State in side a Vacuum Bubble and Creation of an Open Universe" Physics Letters. B317. 510-516 (1993)
[文献書誌] 吉川圭二・二宮正夫: "Quantum Gravity(Proceedings of the Seventh Nishinomiya-Yukawa Memorial Symposium)" World Scientific Publishing Co., 206 (1993)
[文献書誌] 二宮正夫: "重力が生まれる瞬間" 岩波書店, 130 (1993)

1993 年度 実績報告書

量子重力理論の基礎的研究

研究代表者

二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)

研究成果

[文献書誌] 藤川和男・二宮正夫: "A Semi-Classical Continuum Limit of Dynamical Triangulation and Weyl Symmetry" Nuclear Physics. B391. 675-694 (1993)

[文献書誌] 川合光・北沢良久・二宮正夫: "Scaling Exponents in Quantum Gravity near Two Dimensions 1993" Nuclear Physics. B393. 280-300 (1993)

[文献書誌] 川合光・北沢良久・二宮正夫: "Ultraviolet Stable Fixed point and Scaling Relations in 2+ε Dimenseonal Quantum Gravity" Nuclear Physics. B404. 684-714 (1993)

[文献書誌] 福間将文・二宮正夫: "2 Dimensional Quantum Gravity in Temporal Gauge" Yukawa Inst.Preprint. YITP/U-93-37. 1-20 (1993)

[文献書誌] 藤川和男: "A Nondiagramatic Calculation of One loop Beta Function in QCD" Physical Review. D48. 3922-3924 (1993)

[文献書誌] 佐々木節: "Quantum State in side a Vacuum Bubble and Creation of an Open Universe" Physics Letters. B317. 510-516 (1993)

[文献書誌] 吉川圭二・二宮正夫: "Quantum Gravity(Proceedings of the Seventh Nishinomiya-Yukawa Memorial Symposium)" World Scientific Publishing Co., 206 (1993)

[文献書誌] 二宮正夫: "重力が生まれる瞬間" 岩波書店, 130 (1993)

1993 年度実績報告書

二宮正夫京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)