研究概要 |
1.バリオン数非保存過程について今年度にえられた成果は、研究発表欄の第1および第2論文にまとめられている。昨年度に研究代表者、研究分担者豊田とその協同研究者が開発してtoy modelとしてのO(3)非線型シグマ模型に適用したバウンス解を中核とする定式化を、今回は統一電弱理論のヒッグス粒子生成過程に適用した。その結果、入射(射出)平面波とバウンス解との重なり関数が、スフェイレロンが有限の拡りをもつ非摂動的配位であるため大運動量の粒子についして急激に減少すること、また生成粒子が有限個であることからバリオン数非保存過程断面積はスフェイレロンに近い高エネルギーでもユニタリー極限に比べて桁違いに小さいことが示された。最近の諸外国の研究も、初期の期待に反してこの傾向にまとまりつつあるといえる。 2.場の量子論のトンネル効果を扱うのに、バウンス解を中核とする定式化は有力な方法の1つであり、国際シンポジウム*で研究代表者が発表を行った。なお、関連する4つの国際会議に関係者がそれぞれ出席し、有用な討論を行ったので、当初予定していた研究集会は、とりやめることとした。 3.W,Z粒子生成にたいするバリオン数非保存断面積の計算や、宇宙のバリオン数の起源を模型的に追求することなどにエネルギーと思考をさくゆとりがなかったことは残念であるが、今後さらに追求したい。 *The 4th International Symposium on Foundation of Quantum Mechanics-In the light of new technology-,Tokyo,Japan,August 23-27,1992.
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