研究概要 |
^<44>Tiの低励起回転バンド群をアルファ・クラスタ-模型の立場から包括的理解をめざして研究が行われた。我々はこの領域では芯が軟らかいことから、アルファ・クラスタ-模型においても芯励起が重要であると考え、α+ ^<40>Ca^*模型をとった。ここで ^<40>Ca^*はα+ ^<36>Arの構造をもつ。チャンネル間のカップリングは現象論的にとり入れられるスキマチック模型計算を行った。実験値のK=0_2^+(1.90MeV)およびK=2^+(2.28MeV)のバンドは通常の殻模型では説明できないが、この模型ではなく再現される。また、電気遷移確率B(E2)は、バンド間遷移・バンド内遷移とも有効電荷なしでよく再現できる。従来の芯励起のないα+ ^<40>Caクラスタ-模型とあわせて、 ^<44>Tiの低励起回転群はすべてアルファ・クラスタ-の描像で理解できることが示された。現在のα+ ^<40>Ca^*模型では基底バンドが模型空間に入っていない。α+ ^<40>Ca状態及びα+ ^<40>Ca^*状態を統一的に理解すべく、現在α+α+ ^<36>Arの3体模型による微視的計算が進められつつある。 ^<40>Caのアルファ・クラスタ-構造については、大阪大学・核物理研究センタ-で行われた ^<36>Ar( ^6Li,d)^<40>Caの実験結果のDWBA解析の結果、理論的に予言されていたα+ ^<36>Arクラスタ-の負パリティ-・回転バンドが発見された。 ^<44>Tiに続き、 ^<40>Caにおいても負パリティ-・バンドが発見されたことは、sd殻領域のみならずfp殻領域においてもアルファ・クラスタ-構造の存在が本質的であることを示している。 ^<42>Caについてもα+ ^<38>Ar散貼をよく記述するウッズス・サクソン2乗型のポテンシャルが決められ、構造計算が行われた。殻模型で侵入状態といわれるK=O_2^+バンドのエネルギ-準位が非常によく再現されることが示された。
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