研究概要 |
1.^<44>Tiの構造が分光学的因子の大きさも含めてαクラスタ模型により整合的に理解できることが明らかになった。1.9MeVから始まるK=0^+バンドはαクラスタ模型の立場から芯が励起した状態として理解できることが明らかにされた。 2.理論的に予言されていた ^<40>CaのK=0^-バンドが ^<36>Ar( ^6Li,d) ^<40>Caの実験により発見され、新たな特徴として分光学的因子が分散することが明らかになった。芯励起を取りいれた半微視的α+ ^<36>Arの直交条件モデルによる計算を行い、エネルギー準位、分光学的因子、電気遷移確率B(E2)が実験値をよく再現することがわかった。半微視的模型はクラスタ的状態のみならず殻的状態をも同時に記述し、その共存メカニズムが明らかにされた。 3.^<42>Caの構造がα+^<38>Ar直交条件モデルを用いて分析された。エネルギー準位、電気遷移確率B(E2)が計算され、実験値をよく再現することがわかった。 ^<42>Caにおいてもクラスタ構造と殻構造が共存することが示された。 4.sd殻後半領域においてもα散乱と構造の統一的記述の視点から弱結合描像およびαクラスタ構造が成立する可能性が ^<38>Arの研究を通じて明らかにされた。 5.より重い領域へ分子的描像を展開する試みが行われ、 ^<90>Zrおよび ^<208>Pbからのα散乱が二重畳込み模型をもちいてよく記述できること、 ^<94>Mo, ^<212>Poの基底帯がαクラスタ模型で記述できることが明らかになった。 ^<212>Po基底状態の大きいα崩壊幅もクラスタ模型でよく記述され、分子的描像が重い原子核の領域においても成立することを示唆している。 6.要するに、この研究計画を通じて分子的構造はfp殻領域において成立することが理論的・実験的に確立されたのみならず、より重い原子核において、さらには周期律表全体にわたって成立する可能性が示された。
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