研究課題/領域番号 |
03640280
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
清水 清孝 上智大学, 理工学部物理学科, 助教授 (00143363)
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研究分担者 |
高柳 和雄 東京電機大学, 理工学部数理学科, 助手 (30183859)
藤井 昭彦 上智大学, 理工学部物理学科, 教授 (90053503)
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キーワード | μ中間子捕獲 / 粒子ー空孔相関 / 乱雑位相近似 / 調和振動子 / △-空孔励起 / 弱い相互作用 / 擬ベクトルカレント / 交換流 |
研究概要 |
μ中間子の捕獲について、核物質を対象とした計算より局所密度近似を使って種々の原子核での捕獲率を系統的に考察してきた。今年度は原子核は有限の大きさを持っているので、その点を考慮して軽い原子核(酸素やカルシュウム)で乱雑位相近似の方法でμ捕獲の問題を扱った。原子核の有限性の効果を簡単に考慮するために離散的な調和振動子の基底をつかって計算を簡単化した。運動量移行が有限な場合の有限系での計算は部分波で展開して計算した。その結果原子核の励起が1(] SY.plcnst. [)ωがほとんどを占め、スピンはJ=1と2で、パリティが負の状態が主に寄与していることが明確になった。調和振動子を使った場合は全ての状態が縮退しているが、一粒子状態は実験的にエネルギースペクトルが分かっているので、実験値を用いた縮退を解いた計算も行なった。結果は同じ傾向であった。局所密度近似の結果と比較すると、捕獲率でおよそ70%程度となっており、この問題に対しては核物質を対象とした計算より局所密度近似を使って捕獲率を求めるのは良くないことが判明した。また粒子ー空孔相関を乱雑位相近似で考慮した結果も、原子核のどの励起状態に遷移するかという点では同じ傾向を示した。ただし全捕獲率は核物質の場合と同じに減少した。実験値と比較してみると、有限系で離散的な調和振動子の基底をつかって計算した結果はかなり小さい。△-空孔励起の役割を考慮するとこれらの値はより小さくなると予想される。従ってμ捕獲の問題をきちんと理解するためには弱い相互作用における擬ベクトルカレントに対する交換流の効果を評価する必要があると考えられる。今後はこの方面での研究も積極的に進めていく予定である。
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