研究課題/領域番号 |
03640286
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
|
研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
吉村 喜男 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (50013397)
|
研究分担者 |
神田 征夫 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助教授 (20150005)
新川 孝男 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (70171064)
小川 和男 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (10113416)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
キーワード | フッ化鉛 / チェレンコフカウンター / 耐放射線 / 鉛ガラス / セリウム添加 / ヨウロピウム添加 |
研究概要 |
この研究の目的は、フッ化鉛の結晶体をチェレンコフ光発光体とした、チェレンコフカウンターが実用化できるかどうかを試作品を通じて試してみることであった。また、改良・改善方法を研究することであった。 フッ化物の溶解には危険が伴うので、最初は数十ccづつ溶解し結晶化を試みた。最初の結晶では、一定の方向に向いたを数mmの針状結晶が内部に無数に現れ、単結晶にはならなかった。そこで高純度の試薬品を用い、溶解炉の温度や温度勾配を調節して、高品質の単結晶を得た。光学吸収端は245nm、透過率も発表されていたものより2〜5%高いものであった。これらの結晶にコバルトγ線を照射して耐放射線強度を測定した。透過率は10^6Radまで顕著な劣化はなく、10^7Radでの劣化は20分程度滅菌灯(紫外線)に曝すだけで元の透過率に回復した。しかし、10^8Radではほとんど回復しなかった。そこで、10^7Radのγ線照射と20分の紫外線回復を、透過率測定をしつつ10回繰り返した。10回目の照射でもほぼ回復した。金属の弾性に類似して、弾性限界内の引張では元に戻るように、一度に10^8Rad照射した場合とは全く異なっていた。耐放射線性を更に強化することと、蛍光発光体化(シンチレーター)を目的に、セリウム、バリウム、ヨウロピウム等の添加し、鉛ガラスの場合と比較した。セリウム添加の場合、鉛ガラスでは10倍程度の耐放射線性強化がみられたのに対し、フッ化鉛結晶では1/10に低下したばかりか、透過率自体も低下した。ヨウロピウム添加の場合は、紫外線により強い蛍光発光することが認められたが、放射線による発光(シンチレーション光)は認められなかった。
|