| 研究概要 |
『幅の狭い直接fバンドの物性研究』を研究課題として採り上げ2年計画の研究としてスタートした。初年度の平成3年には光交流法による比熱測定の整備、立ち上げおよび単結晶作成を重点的に行って2年度目に備えた。他方、所謂f電子系の研究はここ2〜3年の間に急速に進展をとげ、“価数揺動"というダイナミカルな現象を連想させるTerminologyは金属に対しても絶縁体に対しても適切でないという結論に収束しつつある。すなはち、高濃度近藤効果を示す状態よりさらにMixingが強い領域と考えられていた価数揺動状態(これが正に本研究が目指す幅の狭い直接fバンドとして取り扱うべき領域と考えられていた)は、通常のバンド計算が示す結果でその基底状態が概ね記述出来うるという事である。この結論に至る過程で、我々が本研究と平行して行った“絶縁体的価数揺動物質YbB_<12>、Ce_3Au(Pt)_3Sb_4"の研究が果たした役割は大きい。さて本研究で取り上げたRRh_3B_2(R=Ce,Sm)やUIr_3B_2の物性は、Ce-CeあるいはU-U距離が小さく“金属的価数揺動物質"として捕らえることができる。この物質群に対しても果たして通常のバンド計算で律し得るか否かの問題が急浮上した。現時点での価数揺動に対する上記コンセンサスと照らし併せて、我々の平成4年度の実験を以下に述べる。 1)CeRh_3B_2の^<11>Bを使用しての単結晶作成。…この仕事は平成3年度に引き続くものであり、とくに将来中性子回折の実験でCe以外にもRhが磁気モーメントを担うか否かの判定につかう。 2)単結晶CeRh_3B_2の軟X線による線二色性の実験を通しての巨大結晶場と強磁性の研究 3)UIr_3B_2に少量のFeを添加した系での磁性の研究…Irの5dバンドをFeで分極させ、それがf…d hybridizationを通じて5fバンドに及ぼす影響。
|
