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1991 年度 実績報告書

X線分光法による遷移金属錯体の電子構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 03640296
研究機関宇都宮大学

研究代表者

杉浦 主税  宇都宮大学, 工学部, 教授 (20006406)

研究分担者 寄川 弘玄  宇都宮大学, 工学部, 助手 (40220777)
村松 伸二  宇都宮大学, 工学部, 助教授 (90008053)
キーワード遷移金属錯体 / X線放射スペクトル / X線吸収スペクトル / 光電子スペクトル / 分子軌道 / 電気陰性度 / 価電子帯 / 伝導帯
研究概要

最近,X線分光法を用いて遷移金属錯体の幾何学的配位とその電子構造の研究が活発に行われている.これらの研究の多くは錯体の中心原子のKとL(L_I,L_<II>,L_<III>)吸収スペクトルの測定からその原子価,原子配位,空の電子状態の知見を得ることである.我々はこれまでに,基本的な錯体である正八面体配位,正四面体配位及び正四角形配位の遷移金属錯化合物の中心金属のK,L_<II>,L_<III>吸収スペクトルと配位子(フッ素,イオウ,塩素)のK吸収スペクトルを測定し,空の電子状態の研究を精力的に行ってきた.ところが,これら化合物の価電子帯の電子構造を反映するX線放射スペクトルは殆ど研究されていない.そこで本研究では3d,4d,5d遷移金属化合物のFKα,ClKβ,PdLβ_<2,15>放射スペクトルを精密測定し,以前測定した光電子スペクトル,吸収スペクトルと比較検討した.得られた結果は次の通りである.
1.3d遷移金属フッ化物MF_2(M=Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn)のフッ素のKα_<1,2>放射帯の半値幅は金属とフッ素の電気陰性度の差(イオン性)に密接に関係する.その放射帯の形は光電子スペクトルのフッ素2pバンドとよく似ている。
2.上記化合物のフッ素のK吸収端構造はその八面体配位の分子軌道計算結果でよく説明できる.
3.層状遷移金属化合物TiS_2,ZrS_2,HfS_2のSKβ放射とK吸収スペクトルはその価電子帯と伝導帯の状態密度の計算結果とよく合う.その放射スペクトルは光電子スペクトルともよく似ている.
4.PdCl_2,Pd(ac)_2,Pd(acac)_2のPdLβとClKβ放射スペクトルとPdL_<III>吸収とClK吸収スペクトルは正四角形配位分子軌道で説明できる.特に,PdCl_2の放射と吸収スペクトルは,以前測定されたK_2PdCl_4の放射と吸収スペクトルとよく似ている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] C.Sugiura: "Kα Xーray emission spectra and K Xーray absorptionーedge structures of fluorine in 3d transitionーmetal difluorides." Journal of the Physical Society of Japan. 60. 2710-2717 (1991)

  • [文献書誌] C.Sugiura: "Kβ Xーray emission band and K Xーray absorptionーedge structure of sulfur in layered transitionーmetal compounds TiS_2,ZnS_2 and HfS_2." Japanese Journal of Applied Physics. 30. 1742-1745 (1991)

  • [文献書誌] C.Sugiura: "Xーray spectroscopic Investigation of valence bands PdCl_2,Pd(ac)_2 and Pd(acac)_2." Japanese Journal of Applied Physics. 30. 3432-3436 (1991)

  • [文献書誌] C.Sugiura: "Fluorine Kα Xーray emission spectra of selected metal fluorides." Japanese Journal of Applied Physics. 31. 311-316 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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