研究課題/領域番号 |
03640304
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鳥養 映子 山梨大学, 工学部, 助教授 (20188832)
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研究分担者 |
堀 裕和 山梨大学, 工学部, 助教授 (10165574)
桜井 彪 山梨大学, 工学部, 教授 (00092841)
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キーワード | スピン偏極アルカリ原子 / 表面磁性 / 光ポンピング / 周波数ロッキング半導体レーザー / 光帰還法 |
研究概要 |
前2年度にわたる、狭帯域安定化レーザーシステムの開発、極高真空環境の整備、熱エネルギーおよびエネルギー可変Cs原子源の設計、光スピン計測および表面イオン化原子線量計測等の基礎研究の成果を背景に、本年度は、表面磁性研究への応用を目指した、狭帯域安定化半導体レーザーの実装、原子ビームの光ポンピング、エネルギー可変Cs原子源の実装、Ni単結晶表面の低エネルギー低入射角スパッタおよびこれらを統合した実験研究を目標とした。 以下に概要を示すように、これらの目標はおおむね達成された。 (1)半導体レーザーの周波数制御に関しては、さらにシングルパス速度選択的光帰還において自発的対称性の破れが生ずる機構を発見し、強力でかつ周波数ロッキングレンジが750MHz(2%帰還時)にもおよぶ狭帯域安定化レーザーシステムの開発に成功した。 (2)マルチチャンネルアレイと冷却コリメーターを組み合わせた熱エネルギー原子線発生装置により、よくコリメートされた直径1mm、数密度10^6個/cm^3のビーム取り出しに成功した。 (3)Ni単結晶の低エネルギー低入射角スパッタによる表面平滑化の基礎研究として、表面に垂直なエネルギー成分のしきい値近傍でのふるまいを調べ、有望であることが分かった。 (4)熱エネルギー原子線の光ポンピングの定量的な観測を行った。効率は、ハイパーファインポンピングで約80%、ゼーマンポンピングで約60%という結果が得られた。これらを統合した新しい表面分光法の創生に関しては、現在ようやく基礎研究の端緒に着いたばかりであり、今後の大きな課題として、研究を一層推進する所存である。
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