研究課題/領域番号 |
03640315
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高畠 敏郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
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研究分担者 |
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | エネルギーギャップ / 近藤格子系 / セリウム化合物 / 単結晶 / 重い電子系 / 異方性 / 混成効果 / 価数揺動 |
研究概要 |
我々は、近藤格子系の新しい基底状態として、エネルギーギャップを持つ状態が存在することを、CeNiSnにおいて初めて見いだし、ギャップ形成の機構を解明すべく研究を進めてきた。今回、その一環としてCeNiSnにNiサイトをCo或はPt原子で部分置換した系、及びCeNiSnと類似のギャップを持つCeRhSbの物性を研究した。その結果得られた新しい知見を要約する。 1.CeNiSnのNiサイトの置換効果Ni原子をCoで部分置換すると系は価数揺動領域へと遷移する。これは3d電子数の減少によってフェルミレベルが低下し、その為にc-f混成が強まる為である。Co不純物は、近藤格子としてのコヒーレンスを阻害するだけでなく、エネルギーギャップの異力性を弱める。一方、Pt置換によって格子を伸ばすと、4f電子は局在化する。この為に、低温でのギャップは消失し重い電子状態が実現する。これらの結果から、CeNiSnのエネルギーギャップ形成には、近藤格子系としてのコヒーレンスの発達、及び4f電子と5p,3d電子の混成による中程度に重い準粒子のバンド形成が必要であると結論した。 2.CeRhSbのエネルギーギャップ良質な多結晶試料を作製して、その伝導と磁気的測定を行った。電気抵抗が7.6Kで最小となった後急増することや、磁気的比熱が7K以下で急減するという点に於いては、CeNiSnと酷似している。しかし、帯磁率が115Kという高温に於いてなだらかな山を持つのは、価数揺動系に独特のものであって、CeRhSbが高い近藤温度Tk〜240Kを持つことを意味する。また電気抵抗の温度依存性は、23kbarの高圧下でも、14Tの高磁場下でも殆ど影響を受けない。 これらの結果は、CeRhSbのエネルギーギャップはCeNiSnのギャップ(△=14K)よりも数倍大きい事を示している。
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