2次元系の磁気相転移と臨界現象

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03640334
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 川村 光 大阪大学, 教養部, 助教授 (30153018)
• 研究分担者: 齋藤 基彦 大阪大学, 教養部, 教授 (80012441)
• キーワード: トポロジカル相転移 / 3角格子反強磁性体 / モンテカルロ法 / カイラリティ / 2次元電子系 / シュタルク・ラダー / ウィグナー結晶 / 量子融解

研究概要

渦励起を持つ2次元系のトポロジカル転移の解析を継続・発展させた。渦励起に伴うトポロジカル転移のオーダーパラメーターたる新たな物理量として渦度モデュラスを前年度に提唱したが、今年度はその振舞いをモンテカルロ法と適当な境界条件を組み合わせることにより具体的に計算した。所謂コスタレッツ・サウレス転移が期待される2次元XYモデルの他、Z_2渦を持つ3角格子反強磁性ハイゼンベルクモデル、および渦励起を持たない強磁性ハイゼンベルクモデルを扱った。データを有限サイズスリーリング法に基づき解析した結果、XYモデルについてはコスタレッツ・サウレス理論を直接支持する結果が、また3角格子系についても以前川村・宮下により示唆された有限温度でのZ_2渦によるトポロジカル転移を支持する結果が得られた。
また3角格子反強磁性体に対する層間相互作用の効果をXYおよびハイゼンベルク系の双方についてモンテカルロシミュレーションにより調べ特に新しいユニヴァーサリティに属すると思われる相転移の臨界指数を精密に決定した。
分担者は2次元超格子を念頭におき、強電場・強磁場を加えた時のエネルギー・スペクトルを強束縛模型に基づいて調べ、状態密度の興味深い振舞いを見出した。

研究成果

• [文献書誌] H.Kawamura: "Monte Carlo Study of Chiral Criticality-XY and Heisenberg Stacked-Triangular Antiferromagnets" J.Phys.Soc.Jpn.61. 1299-1325 (1992)
• [文献書誌] H.Kawamura: "Chiral Ordering in Heisenberg Spin Glasses in Two and Three Dimensions" Phys.Rev.Letters. 68. 3785-3788 (1992)
• [文献書誌] M.Kikuchi: "Free-Vortex Formation of the Plane Rotator Model" J.Magn.Magn.Mater.104-107. 227-228 (1992)
• [文献書誌] H.Kawamura: "Free-Vortex Formation and Topological Phase Transitions of Two-Dimensional Spin Systems" Phys.Rev.B. (1993)
• [文献書誌] T.Nakanishi: "Stark Ladders in a Two Dimensional Tight-Binding Model" Proceedings of 21st International Conference on the Physics of Semiconductors.
• [文献書誌] T.Nakanishi: "Electronic States of a Two-Dimensional Tight-Binding Model in Electric and Magnetic Fields" Physica B. (1993)
• [文献書誌] M.Saitoh: "Yamada Conference XXX Electronic Properties of Two-Dimensional Systems" Yamada Science Foundation, 721 (1992)