1)研究内容:地球に垂直な回転軸を持つ回転体の重さが回転方向の違いによって変るかどうかを実験的に調べる。実験には以前に超高遠心力場を得るために作り解体保存してあった装置を再利用する。装置は鋼球を真空中に磁気懸垂し高周波回転磁界で軸受けなしで超高速回転を得るものである。現在これに鋼球の重さを非接触で測定する仕組みを付け加える等の改造を進めながら基礎的なデ-タを集めている。 2)今年度研究実績:研究実施計画に示したように重さの測定精度を上げるため従来使用していたロ-タ-より約300倍重い13.985グラム直径15.08mmの物の磁気懸垂、回転を試みている。ロ-タ-を装填する真空槽を数種類試作し、それぞれに磁気浮上させた鋼球の位置検出センサ-を回転に支障を来たさないように組み込み、懸垂用の電磁石をドライブするコントロ-ル回路を改良し、8桁のデジタル電流計によって励磁電流を正確に測れるようにした。これらの調整作業に今回の科研費で購入したデジタルストレ-ジオシロを使用している。これは超高速で回転するロ-タ-の回転数の計数にも威力を発揮するはずである。 現在、静止状態でのロ-タ-の重さを1/100グラムの読み取り精度で測定できる。予備実験から励磁電流によって重さの変化を測定するには鋼球の垂直懸垂位置の設定精度を1/100mm以下にしなければならないことがわかった。ロ-タ-には真球度が0.1μm以下の精度をもつ重さの異なる12種類の鋼球を作らせた。これらの直径は3.9866mmから15.0812mmである。どの径のものを実際に使用するかはそれぞれの物に適合する何種類かの真空槽を製作し重さ測定を試み、更に回転中に生ずる歳差運動や共振を吸収させるダンパ-機構についても基礎実験を重ねる必要がある。重いたロ-タ-では音速の3倍の高速でバランスを崩した 場合の安全対策についても考慮しておかねばならない。
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