研究概要 |
1。最近地震学の進歩により,島弧下のサイスミックトモグラフィ-が確立されつつある。そのダイナミックな効果は,地穀・上部マントル内の密度不均一による内部ロ-ディングとして取り扱うことが可能である。本年度は,外部・内部ロ-ディング及び任意の境界条件による密度成層した粘弾性地球モデルの各々暖和時間,及び暖和モ-ドを評価するプログラムの開発を行った。現在任意の深さに,内部ロ-ドをおいた時の変位・応力場の評価が可能になった。平成4年度は,各々緩和モ-ドの粘性構造及び密度構造依存性を定量的に評価する予定である。その応用として,東北日本島弧下のサイスミックトモグラフィ-により推定される。密度不均一による表面の地穀変動及び地形,上部マントル内の流れのパタ-ンの評価を行う。地表における地形・応力等の観測値と理論値を比較することにより,島弧下上部マントルのレオロジカルな構造がある程度推定されると思われる。 2.外部ロ-ディングの例として,島弧域の氷河性海水準変動に基づく地穀内の応力場を評価した。島弧域のように実質的なリソスフェアの薄い地域においては,100m程度の海水準変動により発生する差応力は10MPa程度になりうることが判明した。又氷期から間氷期に移る時期には差応力の変化は,島弧中心域で15MPaになり,火山活動のトリガ-になりうると思われる。将来第4紀の火山活動の年代のデ-タが十分集まると,氷期サイクルと島弧火山活動の関係がはっきりする可能性がある。その結果よい相関が得られると,テクトニック応力の絶対値の評価も可能と思われる。
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