平成3年度は数値計算の基礎になる海底地形図の作成、それを使った検潮所点状波源からの逆伝パン図の作成とそのプロッタ-出力及び波源域の円状近似の開発を行った。海域として日本海全域、津波デ-タとしては1983年日本海地震津波、同地震最大余震津波及び1964年新潟地震津波の検潮記録を使用した。海底地形図の作成は海上保安庁水路部発行の300万分の1海底地形図から、20種類の等水深線の座標をデジタイザ-を使って読み取り、各等水深線とx軸との平行線の交点を求めて断面図を作り、等間隔に割り振って10Km間隔の等間隔水深分布図として求めた。これに対して、検潮所の緯度、経度から相当格子点を割り出し、この点で時間に関して階段状の単位の高さの水位を与える。これをもとに線形長波波動方程式を数値的に解き、10秒刻みで計算し、2分刻みで先頭波面の位置を求めた。これをプロッタ-をつかって出力した。但し波面は単位水位の1/10^3(日本国内)、1/10^4(ロシア、韓国)として定義した。津波初動走時だけ逆にたどると波源に戻る。多くの観測点でこれを行い、各波面をつなぐと波源域がえられる(手動)。波源域が円だと仮定すると自動的にもとめる事ができる。つまり、最終波面の交点の分布の中心を波源域の中心とみなすのである。こうしてもとめた円状波源域から同様に波を出して各検潮所への走時を計算し、観測値との間に差があれば差が小さくなる方向に波源域を移動し、これを繰り返して最良の点を求める(自動)。こうして求めた結果を従来の作図による方法と比較すると精度は観測点分布と関係ずけられる点では同じである。
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