研究課題/領域番号 |
03640382
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北岡 豪一 京都大学, 理学部, 助教授 (30093230)
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研究分担者 |
西田 良平 鳥取大学, 教養部, 教授 (90027269)
小泉 尚嗣 京都大学, 防災研究所, 助手 (00215154)
吉岡 龍馬 京都大学, 防災研究所, 助手 (60027290)
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キーワード | 温泉 / 火山性温泉 / 非火山性温泉 / 湧出経路 / 水循環 / 割れ目系 / 熱輸送 / 滞留時間 |
研究概要 |
温泉は、火山性、非火山性を問わず、深部まで発達した亀裂系を循環する天水によって地下の熱が地表近くに運び出される現象である。マグマの直接的な影響のない非火山性の地域でもかなり高温の温泉湧出が見られるのは、水の通路として深部かつ広域にわたる規模の大きい割れ目系があり、しかも、それに水を送り込みかつ下流端で水を堰止める条件が形成されているためと考えられる。割れ目系の熱輸送と水循環を研究するにはこのような非火山性でしかも花崗岩地域に湧出する温泉が適した条件を備えている。本研究では、山陰地方の温泉地で温泉の湧出状態を調査し、それに基づいて数理的なモデルを解析することによって、そういう水循環による熱輸送の問題を定量化し、火山性の温泉と比較しようとするものである。 本年度は、山陰地方の温泉地として、玉造温泉と三朝温泉とで現地調査を行い、水素・酸素の安定同位体、トリチウム、および化学分析用の水試料約50本を採取した。また、温泉地への水の供給域を推定するため、温泉地後背域の水文調査を行い、流域源流点で同位体測定用の水採取をした。同位体およびトリチウムの分析結果はまだ出ていないが、それぞれの温泉地で全域にわたって行った調査によって、温度、成分濃度の分布を求めることができ、ひとつの温泉地では、下流側ほど高温、高塩分濃度の傾向が見られた。このような温度、成分の分布は、上記のような割れ目系を通過した水の末端流出部とみて矛盾しない結果であり、モデル構築の大きな手掛かりが得られた。来年度は、さらに調査域を拡大するとともに、安定同位体とトリチウケの測定を終了させ、安定同位体から供給域の推定、トリチウムから水循環の速度などの結果とも照らし合わせて、総合的に割れ目系水循環による熱輸送モデルを完成させ、この問題の結論を導く予定である。
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