研究概要 |
本研究では小氷期という豪雨多発期と近代化以降における人工地形改変が生みだした大規模な地表環境の変化を過去数百年における水文・侵食環境の変遷を検討するという観点から,明治以降とりわけ高度経済成長期における都市化が著しく,地表環境の変化が顕著であるその痕跡が湖沼・海底の底泥堆積物や樹木の年輪や花粉等の認められる可能性がある阪神周辺およびそれに対応する瀬戸内域を対象として研究を進める。そこではいくつかの樹木及び湖沼・海底堆積物試料を採取し,各種の分析を実行する。そして樹木の年輪や堆積物の粒度組成・花粉等で示される過去数百年の水文・侵食環境の変遷を明らかにし,小氷期や産業革命期以降の近代化が環境変化にもたらした影響を推定することを試みるが,今年度は以下の研究を行った。 1.樹木の年輪解析;神戸市域における樹齢約300年の松の資料を入手しその解析を行なった.また兵庫県北部における杉の円盤を採取を行い,試料の整形等を行ってX線写真資料とした。 2.湖沼堆積物の採取・分析;神戸市域におけるため池・湖沼て湖底堆積物の採取を行い,粒度分析などの物理分析を行った。 そして以下のことが明らかになった。 1.過去200年間の年輪幅の変動には20ー30年の卓越周期が存在することが分かった。 2.過去において土砂移動が顕著であった地域では堆積物中に顕著な粗粒化が認められることが分かった。
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