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1992 年度 実績報告書

陽電子注入による層間場の評価と,それに基づく相間仕合物の合成・構造・物性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 03640414
研究機関国際基督教大学

研究代表者

佐野 瑞香  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20017312)

研究分担者 村上 英興  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30011000)
吉田 信行  国際基督教大学, 教養学部, 講師 (30095674)
キーワード陽電子-電子対消滅 / 陽電子寿命 / 2,3-ジクロロ-9,10-アントラキノン / マンガンリンカルコゲナイド / フラーレン / C_<70> / テトラチアフルバレン / 黒鉛層間化合物
研究概要

1.合成し,帯融解法で高純度化した2,3-ジクロロ-9,10-アントラキノンをブリッジマン法で分子平面がほゞ空行に配列した単結晶に育成し,その14×8×6mm^3結晶の中心に7.4×10^5Bgの^<22>NaCl陽電子線源を挾み試料とした。線源から注入された陽電子が結晶中の電子と対消減する際に放出される511keV γ線のドプラー拡がりを結晶の方位を変えて測定したところ,陽電子寿命スペクトルは310psの1成分のみであり、γ//aの方がγ//bあるいはγ//cよりドプラー拡がりが狭いことを見出した。これから電子が結晶中で自由に運動する範囲が分子のC_2v軸方向で広いことがわかった。2.無機層状物質であるMnPS_3単結晶を気相法で合成し,その層間にテトラチアフルバレン(TTF)あるいはピリジン(Py)を入れて層間化合物を合成した。層間におけるTTFの電子構造を調べたところ,それはTTF^<+1>とTTF^0の間の混合原子価であることがわかった。また,Pyは水素結合をもつPyH^+-Pyなる錯体を形成し,その分子面が層面に垂直に立つような構造をしていることがわかった。3.黒鉛層間化合物であるCsC_8は從来水素を吸蔵しないとされていたが,熱分解反応で作成した原子状水素とは反応して,三元系層間化合物を合成することができ,ステージ2の構造をとっている。水素気体に対する捕捉速度は,RbC_8>KC_8>>CsC_8の順序であり,酸素気体に対してはいずれも10^<-1>s^<-1>程度である。黒鉛-臭素層間化合物にダイヤモンドアンビルを用いて加圧すると,0.3,0.8,1.2GPaで相転移を誘起し,これが層間における臭素分子の結合軸の黒鉛層面に対する傾斜角の変化を伴っていることがわかった。4.第3の炭素化合物として脚光を浴びているC_<60>,C_<70>をアルミナによるカラムクロマトグラフィーで分離し,その結晶中の陽電子消滅寿命を測定したところ,真空昇華法を適用したC_<60>,C_<70>はそれぞれ427,403psの単一寿命をもつことがわかった。C_<60>I_<0.08>では2成分寿命である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] SANO,Mizuka: "Positron Annihilation in Organic Single-Crystals" Mater.Sci.Forum. 105. 807-810 (1992)

  • [文献書誌] ICHIMURA,Kenji: "Hydrogenation of CsC_8 Graphite Intercalation Compounds by Atomic Hydrogen" Nucl.Instr.Methods Phys.Research A. 320. 604-605 (1992)

  • [文献書誌] MATSUZAKI,Susumu: "X-Ray Diffraction of A Stage-2 Graphite-Bromine Intercalation Compound at High Pressures" Mater.Sci.Forum. 91. 307-312 (1992)

  • [文献書誌] MURAKAMI,Hideoki: "Electron-Momentum Distribution in 2,3-Dichloro-9,10-anthraquinone Molecular Crystals Studied by Positron Annihilation" J.Phys.Chem.Solids. (1993)

  • [文献書誌] MIYAZAKI,Takafumi: "Mixed-Valence TTF Intercalated in Lamellar MnPS_3 Crystals" Solid State Commun.(1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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