CO酸化の生成分子CO2は反応場から直接に反発されて脱離するので、その空間分布は常に反応場の垂直方向に鋭く分布し、反応場の傾き、構造の情報を持つ。本研究では種々の傾きテラスを持つ白金表面(異なるテラス幅を持つ)上で生成脱離するCO2の空間分布を測定し、反応場の傾きがどの程度正確に空間分布に保存されるかと、このテラスの異方性の空間分布への効果を検討した。 1 pt(112);(s)[3(111)×(100)]/テラスの傾き角19.5度。CO2の生成は5つのピークで現れ、その内の3つの空間分布を我々の装置で測定できた。CO2の脱離はbulk表面垂直からは15度ずれた位置に鋭く分布し、反応は主にテラス上で進行している。テラスの傾き角との差は約5度で予測の範囲であった。角度分布はテラスに平行ではPt(111)上に似てcos^<7-12>θ(θは脱離角)と鋭い分布であった。これに直角方向(段階上下方向)では更に鋭いが、非対称な分布でテラス垂直をほぼ指向した。この分布はθ=十15°(段階上方)を中心とする鋭いcos^<40>θ成分と、θ=-7〜-8°(段階下方)を中心とするcos^<30>θ成分とに分解されたがいずれもテラス上の反応と結論した。 2 Pt(533);(s)[4(111)×(100)]/傾き14.4度。CO2の生成スペクトルはPt(112)に大変似ている。180-400kの領域に3つのピークが生成した。各々の角度分布は階段上方θ=5°を指向した。反応はテラス上で起こっていると見られるが、予測よりも表面垂直に近い。表面の階段状構造の再解析が必要である。 3 Pt(113);(s)[2(111)×(100)]/傾き角29.5度。研究室で研磨した表面は構造の再現性が不足であることがわかったので、研磨済みの結晶を外注しており測定が遅れている。
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