表面から反発されて脱離する反応生成分子の空間分布や並進速度分布に「反応場」の構造情報がどの程度保存されているかを、白金表面上の一酸化炭素の酸化をモデルとして、本研究では特に「反応場の傾き」に焦点を絞り検討した。 1. 生成脱離するCO_2分子の空間的分布を、傾いたテラスを持つ白金表面、Pt(112)(テラスの傾き19.5°)、Pt(335)(同14.4°)、Pt(557)(同9.5°)上で測定し、反応場の傾きがどの程度の精度で空間分布に保存されているかを検討した。これらの表面では吸着量が小さいとき、反応は主にテラス上で進行することを確認した。この場合、テラスの傾きは85%程度空間分布に保存されていて、空間分布測定が反応場の同定に有用であることを確認した。 2. 上記に報告する白金表面上では、吸着量を増すと反応は低温域に広がって、昇温脱離スペクトルにおいて複数の生成ピークを示したので、空間分布、速度分布を各CO_2ピーク毎に測定した。並進温度の脱離角依存、及び脱離分子のフラックスの脱離角依存から、吸着量を増すとより低温域に現れるCO_2では反応場はステップや、表面の溝の中にまで広がり、テラスの垂直方向には脱離しない成分が増加してくることを確認した。 3. Pt(113)(同29.5°)では再現性ある結果はまだでていない。今後の更に詳しい解析では現象の明確なPt(557)表面が有望である。
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