申請者は、環状カルコゲニドの多中心ヘテロ原子間相互作用がジカチオンおよび超原子価結合を形成することを見いだした。結果について以下に略述する。 セレヌランの化学はスルフランに比べそれほど知られていない。また、アピカル位に窒素原子を持つセレヌランの例はない。新規環状セレニド、1、11-(メタノアミノメタノ)5H、7H-ジベンゾセレナゾシンは、渡環N-Se-N相互作用によりアピカルリガンドとしてアミノ基とアンモニオ基から成る全く新しいタイプのジアザセレヌランを与える。一般にセレヌランはアピカルリガンドが同種の酸素原子またはハロゲンから成る。 隣接する二つの超原子価結合をもつ高配位化合物の研究例は皆無に等しい。環状ビス-テルリドである1、5-ジテルラシクロオクタンとハロゲンとの反応において分子内に二つの超原子価結合をもつビス-テルランを得ることに成功した。このビス-テルラン(テルラン二量体)は容易に二電子還元反応により中性のビス-テルリドに定量的に変換できる。
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