研究概要 |
1.3-ヘキシン-2,5-ジオール類が単体硫黄と反応して、チエノ[3,2-b]チオフェン類を与えることを見いだした。本反応の条件検討を行ない、実用的なチエノチオフェンの一段階合成法とすることに成功した。さらに、本反応がセレノロ[3,2-b]セレノフェン類の合成法としても有用であることを明らかにした。また、本反応の誌上発表を行なった。 2.上記の反応を利用して合成されるチエノチオフェンを出発物質として、機能性の発現が期待される最初のチエノチオフェンのオリゴマーである2量体、3量体、および4量体を合成することに成功した。本結果については第67春季年会で発表の予定である。 3.テトラエチルエチンジアミンが単体セレンと室温で反応し、テトラエチルエタンジセレノアミドを好収率で与えることを見いだした。本化合物はα-ジセレノケトン構造を持つ有機分子の最初の例である。また、本結果の誌上発表を行なった。 4.嵩高い置換基を有するアセチレン類が単体硫黄と反応して1,2-ジチエットを与えることはすでに報告した。ジチエットの過酸酸化により、1,2-ジスルフィンが生成することを見いだし、このスルフィンが理論的に可能な3種の異性体の混合物であることを明らかにするとともに、これらの混合物を分離精製し、それぞれの構造をX-線構造解析等の手法を用いて明かにした。本結果については、第66春季年会等で口頭発表を終え、誌上発表のため論文を投稿中である。
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