研究概要 |
汎用される逆相用カラムODSを固定相とし,移動相には疎水性イオンとして1ーオクタンスルホン酸をふくむa.グリコ-ル酸,b.ニトリロ三酢酸,c.EDTAーOH系水溶液を用いるダイナミックイオン交換の成立の諸条件を調べた.希土類元素はこれら錯形成試薬との錯体として負荷したが,ニトリロ三酢酸についてはイオンとしてコンディショニングしたカラムに加えることが必要である.検出はすべてポストカラム反応を用いて行い,aではアルセナゾIII,b,cでは酸性下クロロホスホナゾIIIを用いた.グリコ-ル酸系においては濃度勾配溶離によりLaーCeーPrーNdーYーSm相互間,HoーErーTmーYbーLuーSc相互間分離が可能であるが,DyーTbーGdーEuーSmは一団として溶出する.本系におけるYの溶出位置は特異であり,Yの高度に選択的な高速分離に有用である.ニトリロ三酢酸はイオン交換クロマトグラフィ-では初期の研究以来顧みられていないが,希土類元素との錯体の安定度定数は原子番号とともに単調に変化するのでダイナミックイオン交換系では速い物質移動と相俟って,優れた高速クロマト系を与えた.すなわち,pH3ての濃度勾配溶離により20minでLuーYbーTmーErーHoーDyーTbーGd(Eu)ーSmーYーNdーPrーCeーLaの高精能分離が可能である.EDTAーOHについてはpH3,0.005ー0.07M(30min)濃度勾配溶離によりSmーNdーPrーCeーLa,ScーLuの優れた分離系を与えるが,上記の方法に比較して特記することはない.
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