研究概要 |
1.アルキレンビス(ジチオ炭酸)塩の合成 2価アルコ-ル類(エチレングリコ-ル,1,3ープロパンジオ-ル,1,2ープロパンジオ-ル,1,4ーブタンジオ-ル,1,3ーブタンジオ-ル,1,2ーブタンジオ-ル,2,3ーブタンジオ-ル,1,6ーヘキサンジオ-ル,1,8ーオクタンジオ-ル)に水酸化カリウムと二硫化炭素とを反応させ、9種類のアルキレンビス(ジチオ炭酸)塩(アルキレン基の炭素数=2〜8)を合成した。 2.アルキレンビス(ジチオ炭酸)塩の反応性および錯体の性質 アルキレンビス(ジチオ炭酸)塩と金属イオン(12種類)との反応性および生成した難溶性錯体の有機溶媒(13種類)への溶解性について調べた。アルキレン基の炭素数の多い方が配位子の安定性が高く,また,錯体の有機溶媒への溶解性も高かった。オクチレンビス(ジチオ炭酸)錯体について,錯体の色および有機溶媒への溶解性をまとめると次のようになる。 Cd(II)(黄,微溶),Mo(VI)(紫,微溶),Zn(II)(黄,難溶), Pb(II)(黄,難溶),Te(IV)(黄,微溶),Sn(II)(黄,微溶), Cr(VI)(緑,難溶),Fe(III)(黒,微溶),Co(II)(緑,溶), Ni(II)(黄,溶),Cu(II)(褐,溶),Tl(I)(黄,難溶) 総じて錯体の有機溶媒への溶解性が低い。これは配位子が橋かけ基となり高分子量の多量体が生成するためと思われる。 配位子の安定性や錯体の溶解性を考慮した結果,ニッケル(II)錯体を配位子源とし,金属交換反応を利用したコバルト(II)や銅(II)の抽出一吸光々度法の可能性を見い出し,現在研究中である。 3.アルキレンビス(ジチオ炭酸)の酸化多量体 これについても研究する予定であったがまだその段階に到っていない。
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