研究概要 |
1)蒸発気化による微粒子用質量分析装置の設計と製作ー氷晶微粒子を真空中に導入し,熱線流速計のセンサ-に衝突・蒸発させ,その蒸気を質量分析器のイオン化室に注入する装置を設計し製作した。 (1)差動排気真空系の設計:氷晶粒子が熱線と確実に衝突するようにするためには,大気圧から粒子を導入するオリフィスの口径が大きいことが望ましい。また粒子が熱線に衝突することにより発生する蒸気を効率よく質量分析器に注入するためには,注入孔の入口側からイオン化室へ向かう気流を粘性流とする必要がある。一方質量分析器の周囲の真空度は10^<ー6>Torr以下でなければならない。これらの条件に基づいて熱線周囲の真空度を設定して空気の流入量と排気量のバランスに関する計算を行った。とくに蒸気注入孔については粘性流から分子流への遷移領域におけるコンダクタンスの計算を行ない,ここをニ-ドル状にする必要があるとの結論を得た。またポンプの排気速度は600l/min程度が適当であることが判ったのでそれに見合う性能の油回転ポンブを購入した。 (2)真空装置の製作と試験:上に記した条件の他,冷却トラップ取り付け等を考慮して装置全体の大きさ,必要なポ-トの数を決めて全属材料を購入し工作を発注した。工作完了後この装置を当初の予定通り既存の四重極質量分析器と接続して真空度試験を行なった。 2)信号検出用パルス発生試験ー熱線に粒子が衝突・蒸発したときの温度変化を電圧変化として感知し,信号検出系にゲ-ト機能をもたせるためのパルス発生のテストを行なった。その結果,専用コンピュ-タに代えて現有のマルチチャネル分析器を利用し得ることが判った。 3)氷晶粒子発生試験ー超音波で霧状の水滴を発生させ,液体窒素でー30℃まで冷却して氷晶粒子を得る操作の試験を行ない濃度の安定性等を調べた。
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