研究概要 |
ピリジン及びその2、3、4位のメチル置換体を用い、これらピリジン誘導体中におけるマンガン(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)及び亜鉛(II)イオンの溶媒和構造をFXAS法により、また着色のイオンについては分光光度法を併用して決定した。ピリジン及び3、4位のメチル置換体中において、これらの2価金属イオンは6配位八面体構造であることが明らかとなった。3ーメチルピリジンではメチル基による立体障害が存在し、4ーメチルピリジンはピリジンと同様にメチル基による立体障害は期待されないが、これらの溶媒中における金属ー窒素原子間距離は変化がないことから、立体障害はエントロピ-に起因するものと考えられる。一方、2ーメチルピリジンではメチル基の大きな立体障害のために、溶媒和イオンの構造が4配位四面体に変化することが観察された。 ピリジンは窒素原子供与の溶媒であるが、酸素原子供与の溶媒に関してもメチル基の立体障害について比較検討を行った。溶媒としてN,N‐ジメチルアセトアミド(DMA)を用いて、マンガン(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、亜鉛(II)の溶媒和構造を決定した。その結果、DMF中において上記のイオンはすべて6配位八面体構造であり、DMF中と同様DMA中においてもマンガン(II)、ニッケル(II)、銅(II)は6配位八面体構造であるが、コバルト(II)、亜鉛(II)は6配位八面体と4配位四面体の構造平衡にあることが明らかとなった。 更に、酸素原子供与ではあるが、非常にかさ高いヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)中におけるコバルト(II)の溶媒和構造を決定したところ、配位数は4に減少し、このことに2ーメチルピリジンでの配位数の減少に対応するものと考えられる。
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