研究概要 |
主要組織適合抗原系は臓器移植の際に極めて運要な遺伝子群である。これは従来から移植の臨床で血清学的方法よってドナ-とレシピエントのタイピングを行い,そのHLA型が合うか否かを判定する事でよく知られている。一方この抗原系遺伝子は一つの遺伝子座あたり30個以上もの遺伝的多型が存在し,莫大なHLA型が存在する。この多型は異常に高い。この多型機構を解析する目的で,まず従来のDNAの情報を整理しこれをデ-タベ-ス化した。このデ-タベ-スにもとづき配列相互の比較から変異の様相を解析し,点突然変異の方向性,同義置換と非同義置換数の比較を行いその多型機構としてもっとも可能性の高い超優性機構の可能性が高いことは見い出した。その結果は1990年1月のヒュ-マン・ゲノムプロジェクト・シンポジウム,国際人類生物学会シンポジウム,日本人類遺伝学会,ゲノム情報の班会議で発表した。さらにHLA遺伝子群内のDRB1,DOB1遺伝子群についてPCR法によるDNA部分領域の増巾およびYのDNAのゲル泳動による泳動パタ-ンの差異によるタイピングの開発を行い,雑誌TRANSPLANTAIONに投稿中である。文献的に収集したHLAーDNA情報の整理とアライメント作りは軌道にのっており,多目的に利用可能なデ-タベ-スとして公開できる。
|