研究概要 |
キイロショウジョウバエではゲノムの17%が中程度反複DNAで構成されており,その3/4が可動遺伝因子,トランスポゾンと推定されている。トランスポゾンは自然突然変異の主要な原因となっているのみならず,ゲノム進化の上でも何らかの役割を果たしてきたと考えられる。本研究ではキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)およびその近縁種のオナジショウジョウバエ(Drosophila simulans)の中程度反複DNAのゲノム構成を明らかにすることを目的とする。キイロショウジョウバエおよびオナジショウジョウバエのEMBL3を用いたDNAライブラリ-を作製した。キイロショウジョウバエのDNAライブラリ-からこれまでに約700のクロ-ンをランダムに選びDNAを精製した。これらのうち70個について,唾腺染色体へのin situ hybidizationを行い,染色体上の様々な位置にhybridizeする反複配列クロ-ンを24個同定した。現在これらのクロ-ンの制限酵素地図を作製中であり,これを概知のトランスポゾンの制限酵素地図と照合する。 今後さらにクロ-ンの数をふやし,さらにオナジシゥジョウバエについても同様の解析を行って両種の間での中程度反塁の分布の違い,構成要素の種類の違いなどを明らかにしていく。これらの結果をもとに両種の種分化をもたらした要因について,ゲノム進化の観点から分析および考察を行う。
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