1。北海道のおもにダケカンバよりなる林の調査は9月下旬に行い、今年度の生長のデ-タを取り終えた。測定項目は、各種各個体の樹高、胸高直径、枝下高である。今年度は新たに10mX10mのプロットを設け、合計2つの10mX10mプロットで測定を行った。デ-タ解析はこれから行う。2。三宅島でのスダジイ・タブ林の調査は11月下旬に約1週間かけて行った。測定項目は各種各個体の樹高と胸高直径である。来年度の調査にむけて、今年度のデ-タを予備的に解析中である。3。富士山のイタドリとその他約5種よりなる多年生草本群落の生長調査は5月より開始し、9月で終了した。測定項目は各種(今年度はイタドリとオンタデのみ)各シュ-トの高さと直径であり、1、2週間に1度、約300本のシュ-トを継続測定した。さらに、各測定時に約30本づつのシュ-トをランダムにサンプルし、アロメトリ-関係より継続測定の各シュ-トの植物体重と葉面積の生長を推定した。現在までのデ-タ解析で明らかになったこととしては、両種の生長パタ-ンの顕著な違いが上げられる。すなわち、オンタデではシュ-トの生長はサイズ依存的であるのに対し、イタドリではサイズ非依存的なシュ-トの生長がみられた。また、生長の分散(拡散モデルの拡散項)は特に小サイズでイタドリのほうがオンタデよりも大きかった。これらのことより、イタドリは、より大きな平均生長速度を持つオンタデと共存できうると考えられる。このことは拡散モデルから理論的に導かれる結果と一致する。現在、さらに実測デ-タにもとづいて理論的解析を進めている。以上のデ-タをまとめるにあたっての理論的枠組みを構成し、2つの論文にまとめ投稿した。いずれも現在、印刷中である。
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